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岩松了さんの「結びの庭」

前回の記事執筆はもう一年以上前!
長らく席を空けておりました。
この一年、仕事したり農作業したり今度は坂道でこけて病院のお世話になったりしていました。

先月から今月にかけて、森崎事務所「結びの庭」松江公演を観劇しました。
遠征と言う言葉もそぐわない位とっても近い場所の公演です。近すぎて次の日始発出勤になりましたが、長く舞台ファンやってるとこういう事もあるものだなあとしみじみしています。

岩松了さん、実は苦手な部類の演出家さんでした。
映像で作品拝見したのですが、透明感や俳優さんの美しさは伝わったものの、どーにも「わからない」世界でした。

そんな岩松了さんが脚本演出、出演までされる舞台を、なんどか映画で拝見していた女優の麻生久美子さんと、朝の連続テレビ小説の「あまちゃん」の脚本等手がけられている、宮藤官九郎さん主演で観に行くことになるとは、「こういう事もあるものか」としか言えなかったです。このメンバーが中国山脈超えられるとは思ってみなかった、。

さてさて舞台。
木々の生い茂る庭と、美しい邸宅。新進気鋭の弁護士と、美しい妻。
2人はまだ結婚して1年で、お互いに愛し合っている。

恋は激しくていい加減で人を馬鹿にさせ、白いものを黒いものに変えます。
でも結婚生活を営むには、別種の努力が必要になります。
2人の生活を継続するためには、夫と妻、「家庭」という役割を演じる面もあるのでないでしょうか。

弁護士でもある夫ー水島慎一郎は、まだ愛する女との恋を成就させた喜びに酔っている。
経団連会長の令嬢でもあった妻ー瞳子は、妻としての座を守り、理想の家庭を作り上げようとする。

麻生久美子さん。美しいです。
凄く作りこんでおられるなあと感じたのですが、その造作は、女優としての麻生さんの佇まいにもつながる気がしました。

(しかしいつでも、同性の心をぞわぞわっとさせる役柄を演じられている方です)

家政婦の丸尾さん役の安藤玉恵さん。
善良で、瞳子にどれだけ高慢な態度を取られても笑顔でいなす女性。
それは、彼女が「理想的な家政婦」という役割を勤める為なのですね。
純粋でいじらしい故に、無意識に物語を引っ掻き回すトリックスターになっていました。

水島の秘書・近藤役の太賀さん。
若くて、純粋で鋭敏ゆえに、力強い味方にも、不穏な場の展開に真っ先に影響を受ける羽目にもなる。
全てが100%。存在感も柔軟性もある役者さんでした。
まだ若い俳優さんですが、地に足をつけた印象を受けました。
どら焼きもしゃあと食べる姿も見たい。

平穏な暮らしに突如入り込んだ訪問者・末次には岩松了さん。
キュートでした。最初観た時は「プーさんみたいだな」。
豊かな声量に、なんとも愛嬌のある雰囲気です。悪意は全く感じなかったんですね。
そして覗く重厚さ。素敵な俳優さんでした!
岩松さんが様々な役で、映画ドラマに姿を見せる理由が分かった気がします。

水島慎一郎役の宮藤官九郎さん。
不思議な俳優さんです。
反射と感応から役を作り上げる俳優さんを目の当たりにしたのは初めてです。
個性は強い人だと思います。ひょろっとしてたりとか、猫背だとか、ちょっと癖のある声の響きとか。
でも、それ以外に背負うものは無に近い。麻生さんとは好対照ですね。

多分相手の言葉に反応する感覚が人より極めて早いのではないかと思う。
舞台を、「物語」ではなく「その状況に置かれた人の時間の経過」として捉えられているのではないかなあと、感じます。
宮藤官九郎から始まり、水島慎一郎で終わりました。

特に笑わせようする場面でもないのに客席から笑いが出ていました。
シーツをずるずる引きずっていたり(かわいい)、言葉を繰り返したり。
水島としての演技に、客席の人も感応したのでしょうか。
一生懸命に迷う姿は哀愁があり、時として滑稽に見えるのかも。

俳優さんの口を通すことで、流れるように美しく響く台詞も忘れがたかったです。
時間の経過と共に変わっていく照明も、常に存在を主張している庭も、とても美しかったです。

明確ではない終わり方で、終演後は「?」マークの顔の方も居たのですが、上品で美しい舞台だったように思います。
舞台の上に出る人の行動には濁りも私欲もなく、自分の誇りと相手を思う心が際どいバランスを取っていました。

水島夫妻は、これからも額縁の中に描かれた夫婦のように、清涼で美しい2人として生きていくのでしょう。
生まれも育ちも違う人間同士が結ばれて生きていくにはどうすればよいのか。
役割を勤める事、後ろ暗くても何らかを共有すること、岩松さんの出した答えの一端一端を見せてもらった気がしました。
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プロフィール

高砂 舟

Author:高砂 舟
twitterもやっています。
@takasago_fune

偏った本読みと太極拳が趣味です。低レベルですが腐です。
今はグレアム・グリーン継続中。星野道夫さん、宮澤賢治氏、藤沢周平氏をよく読んでいます。
植田正治氏の写真も大好物。

大人計画とグループ魂とっかかり中です。

宝塚は長く観ています。観劇回数は少なくとも、おばあさんになるまで細く長く見ていきたい所存。

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