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「長い春の果てに/カノン」花組地方公演

5月一杯続く、宝塚歌劇花組の全国ツアー「長い春の果てに/カノン」。地元鳥取でも10年ぶりに公演がありましたのでさっそく観にいきました。
初演の月組も、前贔屓の汐風幸ちゃんも出演されていましたので、見たことがあります。
現代のパリの物語で、出てくるのも、刑事や犯罪者ではない、普通の街の生活者。
ドラマティックな宝塚芝居の中では異色でした。



更にここ数年は、海外ミュージカルの数が増え、生に死に波乱万丈な宝塚ドラマ。
ほのかに笑え、泣ける人間喜劇は本当に久しぶりです。


「長い春の果てに」は石田先生の脚本。
石田先生の現代西洋もの好きなんです。
どぎつい台詞使いとかややアナログの男女設定とか、モヤモヤする観客の方もいる先生ですが、西洋物はたぶん石田先生、新聞を読みながら適度に現代の時勢も取り入れて、テンポ良くお洒落。
「愛すべきお人よし」な男役さん、おてんばで力強い娘役。癖のある人物は多々あるけど悪人はいない内容に少し毒も利かせている。
「再会」をはじめ何度か再演されているのは、実は定番のシリーズなのではないかなと思ってしまっています。

花組さんは「ファントム」以来でした。
男役トップの蘭寿とむさんは、咲き誇っていらっしゃいましたね。
なんとも言えない匂いがあります。
凜と立ち、さっぱりとして美しい色合いながら香りの強い花のイメージ。
「歌劇」等のインタビューや、書き文字の美しさから、凄くクレバーな方だなと思っていました。しかし、このたびその香り立つ存在感にあてられてしまいました。
こういうトップさん初めてだよ!

力強さとかカリスマ性や華麗さよりも、それら全部含めた上での華やかさというか。
「立てば芍薬、あるけば牡丹」という言葉ぴったり。

82期の男役さんは香気があるなあ。
とむさんステファンは繊細な、無色の男性でした。
クロードに憎まれるのですが、本当に憎まれるのだろうなあ、と。
豊かで文化的な家庭や破格の両親の愛情をそのまま享受し、イノセントなまま育ったのだろうなと想像させられます。
そんな彼のはじめての挫折は、シモーヌを亡くしたことで、エヴァと出会った時はその苦悩ががまだ続いていたのでしょうね。

エヴァはステファンよりも幼いけれど、ステファンの過去をよく知っている。
彼の存在を、自分にとって価値ある人として大切に思っている。
二人が出会うことで、二人の現在と未来が一気に化学反応を起こしたように思います。

とむさんステファンはメガネのお医者様でした。
金髪にメガネ、よくあいます~!
小さい顔に白衣のスタイルが、さらなる美青年感を増していました。
十年の時間のあと、「青年めがね」から「大人めがね」になっているのもいい感じ。

ポロの場面も赤い衣装がスタイルが異様に良かったです。

蘭乃はなちゃんは妖精タイプですね。
華奢で清楚で、「娘役」というイメージにもっともぴったりなトップ娘役さんだけど、場面ごとに作る表情が全く違うのにびっくり。とむさんに翻弄されたり、導いたり仕掛けたり。
あの紅天女の出てくる演劇漫画の主人公ちゃんとはかくなる人なのかなと思いました。

エヴァは天真爛漫な女の子だけど、幼い頃に父親を亡くし、脳に病気も抱えています。

月組娘役トップの映美くららちゃんはのエヴァはむ元気一杯、小さい怪獣みたいでした。思い出話になるけどゆうひフローレンスとの怪獣対決は凄かったです…。ゆうひフロ、常に本気で〆ようとしてたし。

対してはなちゃんエヴァは、線が細く、明るく笑っていてもどこかかげりがあるような。
若いけど利発な子、という面も際立っていた気がします。

発症する場面は目を開いたままことんと意識を失っていて、かなり衝撃がありました。
はなちゃんエヴァには「死の匂い」が確かにあった気がする。

ステファンとフローレンスを結びつけるための作戦のあと、はなちゃんエヴァは本当に泣いていました。しかも、喉を鳴らす本当の嗚咽。
14歳の娘さんにとって身を引くという決断は、自分の命を揺るがすくらいの大きな決断なんですよね。

イノセントなお医者さんと、ほかの子より先に成長してしまった娘との出会いは、互いに支えあって、お互いを生かしました。
そして、その2本の木は1本の大樹となっていくのだろうなあ、と想像させる余地のある終わり方でした。


男役さんの演じていたナタリー&フローレンスが、全て娘役さんになっていました。
娘役さんの台詞として聞くと、ナタリーやフローレンスは、かなり言葉が強いです。
花組の女王・桜一花さんも最初苦労されているような感じでしたが、慈愛溢れる女医さんでした。アルノーも恋心を捨てられないだろう、という。

華耀きらりさんのフローレンスもフェミニンさが増して、「怒り」よりも「哀しみ」が前に出たような。

望海風斗さんのブリス。
「仕事も恋も無くしたという」男役の口からはあまり聞きたくないヨッパライ自虐芸には、申し訳ないけど笑えました。……(しかし、その直後、急転直下の客席での抱擁!)
でもかっこよいのですよね~。望海君のブリスって。魅力が一杯で、誰でも惚れるやろ!という感じ。

レッドのベリーショートのステファンママさんは存在感が果てしなかった。
パパさんのデートは鳥取砂丘だったそうです。ラクダに乗るとか。

目に見えないけど、カップルとなる2人には、最初は別方向を向いていても赤い糸がなんとなく見えるつくりとか、微笑ましくていいなあと思います。

ステファンのライバル・クロードの壮さんはなにかねえ……。鋭利な存在感が素晴らしいです。徹底的に堕落する役で、ステファンと最後の最後まで馴れ合わない役なのですが、たぶん、クロードのほうに心を寄せる人も少なくなかったのではないでしょうか。
とむさんステファンがやさしい役作りだったので、壮さんの鋭さがより際立ったなあ。
声の張りも、仕草も、彼女の積み重ねてきた男役さんの芸を感じました。


全体的に、上品で暖かい作品になっていた気がします。
微かに漂う「死」のにおいと。ヒューマニティーへの信頼と。
10年ぶりにキャストを変えてみましたが、やはりこの作品は好きです。

(ねたばれ)
実は月組公演の時は、ステファンがエヴァを治した後、旅に出るのが疑問だったのですよね。病院では、ナタリーやフローレンスを含めた暖かい輪ができているというのに。
わざわざ無医村まで行き仕事を始めて、十年も時を置くことはないのではないかと思っていたのです。第一エヴァの気持ちはどうなるんだ、と。
でも、花組でなんとなくわかった気がします。
彼にとって、一度実家から離れて、なすべきことをする時間は絶対に必要だったのだなあ、と。それは、エヴァちゃんがピア二ストとして研鑽を積むのと同じ時間の重ね方だったのではと思います。距離は離れていても、二人はずっと心はつながっていたのでしょうね。


ショー「カノン」は、題名からクラシカルでゆったりとしたショーかと思いきや。
ダンス・ダンスの激しいショーでした。合間に美しい娘役さんたちが舞っておられます。

ダンサー・蘭寿とむさんのためのショーですが、蘭乃はなちゃんもこうKAZUMI先生は鬼やとまでも思ってしまうダンスでもとむさんに付いていっている!

花娘さん、皆様美しく、上品です。
群舞もしなやかで、ドレスの裾の捌きも乱れがない。
花組はクラシカルで特別な組なんですね。

月央和沙さんなど、汗流しての熱演でした。目立ちます・・。
望海海斗さんは眉間の皺がシャープで格好良い!

桜帆ゆかりちゃんは満場で拍手でした。
まだまだ下級生でしたが、ふんわりと、でも堂々と拍手に返事をされていましたよ。


最後に私事ですが、今回はもう地方公演でもない限りは望めないような良席でした。
生徒さんが横を通る通る!とむさんは大変に良い香りがしました!顔ちっちゃい!
壮さん、目の輝きが凄まじい!激しいダンスでも、揺るぎの無い、電光のよう眼差しです。
そういえば、視線は常にはるか先に向けられているのです。

宝塚に興味はあるけど、劇場は敷居が低くて見に行きづらい、という方。
宝塚大劇場では3500円から見ることができます。2000人はいる劇場ですので、直前でも、劇場に行けばチケットは手に入りますよ。
遠いのではないか、と気になる方は大丈夫、生徒さんたちはいつも一番遠い席に向かって、視線を向けていてくれます。

中詰めでのとむさん、「鳥取和牛おいしかったぜー!」と叫んでいました。
いや、前日は広島県福山市での公演で鳥取入り。広島と鳥取って、バスでも五、六時間掛かるのです。四月末の千葉から、福岡、山口…と二日に一度の割合で、あんな激しい公演をされて。でも、いきなりお肉!?
タカラジェンヌの元気さにたまげました。
凄まじい運動量の公演だというのに、いつも彼女たちは本心からの笑顔を、客席に注がれていました。

客席は知事もいました。
ところどころで笑いも起こって、劇場全体が楽しんでいましたよ。

最後に。そしてはなちゃん一本釣り!!!!!の記憶は、私の宝塚暦の最高の部類の思い出として、心に残していきたいです。ぴちぴち。


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プロフィール

高砂 舟

Author:高砂 舟
twitterもやっています。
@takasago_fune

偏った本読みと太極拳が趣味です。低レベルですが腐です。
今はグレアム・グリーン継続中。星野道夫さん、宮澤賢治氏、藤沢周平氏をよく読んでいます。
植田正治氏の写真も大好物。

大人計画とグループ魂とっかかり中です。

宝塚は長く観ています。観劇回数は少なくとも、おばあさんになるまで細く長く見ていきたい所存。

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