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「ヴィクトリアン・ジャズ」宝塚歌劇花組バウホール公演~流れ星と恒星

11月20日、宝塚歌劇バウホールにて、望海風斗さん主演の「ヴィクトリアン・ジャズ」を観劇しました。
宝塚専属演出家・田淵大輔さんのデビュー作品です。

舞台はヴィクトリア朝の繁栄を誇るイギリスは倫敦。主人公はしがない奇術師のナイジェル・カニンガム。演ずるは第89期生・望海風斗さん。
軽快で明るいムードに引き込まれ、終始ニコニコしてしまった作品でした。
最初から終わりまで、劇場内に笑い声が響いていました。

私はコナン・ドイル作のシャーロック・ホームズが子供のころから大好きでした。シャーロッキアンと呼ばれるファンの方が著された研究書も読み漁っていた時期があり、ホームズの時代~ヴィクトリア朝ロンドンに対する憧れは強いです。(森薫さんの漫画「エマ」もお勧め。)
いつか宝塚でホームズ物を観たい観たいと願っていたのですが、今回はヴィクトリア時代の奇術師が主人公。これはぜひバウに走らなければ!と心が馳せていました。

・・しかし、今現在のヴィクトリア時代の印象は「経済は発展したけど、表向きにはわりと地味な時代」。
質素倹約を大切にする女王の精神により、あくまでも建前は保守的な時代。特に紳士の服装は黒かグレイが多く、派手だったり冒険的なファッションは少ない印象です。宝塚歌劇の舞台にするには、やや大人しい時代です。一体田淵先生はどう料理されるのだろう、と期待と不安の気持ちも持っておりました。

あらすじ

巨大金庫を使った脱出王を名乗る奇術師・ナイジェル・カニンガムは、商売道具の金庫を借金のかたにオークションに売り出され、今危機に陥っていた。
同じころ、「英国心霊主義協会」という団体が、降霊術師を募集していた。
ナイジェルの得意とするのは、脱出術の他にもう一つ・・本人も見落す外見上の特徴から、数時間前の行動や癖、家族の様子まで言い当てる観察力。
その眼力を生かした「奇術」で協会に入り込めないかと考えたナイジェルは、降霊術師を名乗り「心霊主義協会」の面々を騙すことにする。
思惑はまんまと成功。ナイジェルは凄腕の降霊術師として協会に認められ、特に顧問を務める医師コナン・ドイルはひどく感激するのであった。
協会に持ち上げられ名を高めたナイジェル。そんなある日治世者ヴィクトリア女王の招待状が届く。
なんと女王は、既に故人となっているアルバート公と降霊術を使い話したいというのだ。ドイルと共に女王に謁見したナイジェルは、女王が本当は降霊術を信じておらず、別のある依頼のために自分を召喚したのだと知る。
公務を休んでいる女王のもとに、死んだはずのアルバート公の手紙が届いていたのだ。内容は一端頓挫した、英国と大陸間鉄道の建設を勧めるもの。
いまになって、政治的な内容の怪文書を送ったのは誰なのか。皇太子に議会にと、なりゆきで自らの首の無事もかけた、ナイジェルの調査が始まった。


ぴんと来た方もいるかもしれないのですが、もろに「奇術」はシャーロック・ホームズの推理術!ヴィクトリア女王はまるで007のMのような存在感。

昔大好きだった偕成社のシャーロック・ホームズシリーズや宮崎駿監督の名探偵ホームズも連想しました。どちらもホームズが明るいお兄さんなのですよね。

テンポよく、まさかの豪快なドンでん返しもあり、ちょっと「あなたの知らない世界」も関わって。歴史と絡んで魅力的な人物も一杯。一幕の終わりはまさか議会でそれするか~!と心が沸き立ちました。


ナイジェルさんの望海風斗さん。全国ツアーでも強く印象に残った、演技良し歌良し、コメディも良しの魅力ある実力派の方です。今回はそよ風のように軽やかなお兄さんでした。マントが良く似合います。
最初は翻弄されながら、国会議事堂での大舞台をこなす。愛すべき性格の人物だったと思います。歌はジャズがメインであり、歌うのが難しそうな曲ばかり。見て聞いて、破たんの全くない主演ぶりでした。

コナン・ドイル役の鳳真由さん。感激屋でドジなコナン・ドイルを見ていてどこか懐かしいなと思っていたら、一昔前のワトソン君でした。
外見はハンサムですが、明るくて一途で可愛らしかったです。ナイジェルと、まるで子供同士のように誤解して喧嘩して仲直りするコンビぶりが微笑ましかったです。

ヒロインのサラ・ウォルターズは桜咲彩花さん。眼鏡っこヒロインです。
前向きで情熱的なヒロインで、コメディエンヌ的な場面もありましたが、度を越さず可愛らしさや品はそのままでした。ナイジェルとの恋愛はスタート地点という感じです。

鍵を握る女優のアリス・ケぺルは仙名彩世さんは野心家。こちらも可愛い感じでしたが、野心や野望は持っているわ!と歌い切る場面もあって素晴らしかったです。

花組は娘さんが輝いている印象がありましたが、今回も三者三様のヒロインの花が咲いていました。

物語の中核に坐するヴィクトリア女王は桜一花さん。素晴らしかった・・。
バッスルの入った喪服のドレス姿も美しく、豊かな時代の治世者としての強さ、微かに見える迷いや脆さ、大きな子供を持っていながらも失われない女性的な感覚も感じられて、アルバート公と深く愛し合っていたのだなあと想像させられました。

全国ツアー「長い春の果てに」のナタリー役も美しさも繊細さもある女役の演技で({ファントム」のカルロッタも華麗でパワフルな悪役でした!)目が離せない方だなあと思います。小柄な娘役さんだけど、そのなかに娘役としての技術や細やかな心情を持たれている方ではないかと。次の「オーシャンズ11」も目が離せないです。

中心に揺るがず存在する恒星は女王、流れ星のごとく動き回るのはナイジェルだったのではないでしょうか。

息子のエドワード皇太子は柚香光さん。柚カレーという愛称でも愛されている方のようですが、キラキラしていましたね。エドワードは、正直何の苦も無く無邪気に育ったまま大人になってしまった王子様。口髭は生やしているものの大きな子供。きつい言い方ではバカ殿様(大汗)でも、本当に立ち姿は美しく、軍服姿で幼い口調というギャップも許されました。
やがて、ヴィクトリア女王とエドワードは、対立しながらも同じ心情を分かち合う母子なのだなあとわかります。

降霊術というオカルトが政治の場で取り扱われてしまう所、イギリスと大陸間のトンネル建築という世情、細かいところではケペルの犯罪など、あの時代の雰囲気をよく取り扱われていたなあと思います。かといってマニアックに偏らず、誰でも楽しめる娯楽作として充分な出来でした。

ですが、ちょっと小姑的ですがお衣裳の所では少し注意したかったかな。時代に忠実な衣オリジナルの装作りなど難しいと思うのですが、幾らフリーダムな奇術師とはいえ、吊るしの普段着そのままで女王の謁見はありえないと思いますよ。皇太子に会う次の場面でちゃんと正装してきたのですから、一場面早くしても良かったのではないかなあ。
また、十二分に堪能してしまったのですが、あまりに周りの人物が個性が強く魅力的だったためか、軽やかなナイジェルが媒介者の役割になってしまった面もある気がします。望海さんの弾けぶりには今後に期待かな。
今後は「ナイジェル・カニンガムの思い出」とか、シリーズものにしていいかも^^

観劇日は撮影機材が入っていました。ヴィクトリア時代が好きな人にも、こっそりシャーロッキアンにも見て頂きたい作品ですから、番組やDVD化してほしいなあと思います。
最後のショー場面は男役さんは黒のスーツ・娘役さんは黒のドレス。短い場面でしたが、娘役さんの裾捌きの美しさにまた酔いました。技術力の高さも花組は印象に残ります。宝塚の中で一番歴史が古い組として、継承され続けていく心根があるのかもしれません。

笑顔が絶えない作品で、面白かったです!本日は千秋楽ですね。花組生&田淵先生、スタッフの皆さま、お疲れ様でした!客席が自然と笑顔になってしまう作品を有難うございました。

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プロフィール

高砂 舟

Author:高砂 舟
twitterもやっています。
@takasago_fune

偏った本読みと太極拳が趣味です。低レベルですが腐です。
今はグレアム・グリーン継続中。星野道夫さん、宮澤賢治氏、藤沢周平氏をよく読んでいます。
植田正治氏の写真も大好物。

大人計画とグループ魂とっかかり中です。

宝塚は長く観ています。観劇回数は少なくとも、おばあさんになるまで細く長く見ていきたい所存。

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